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車椅子対応の堺の平屋
大阪府堺市/2023年 準防火地域
構造規模 木造、平屋
計画期間 設計5ヶ月、施工4ヶ月
敷地面積 303.52平米
延床面積 136.3平米
住居部 89.5平米
車庫部 36.0平米
ポーチ部 10.8平米
車椅子生活に対応
介護に対応
バリアフリー
2台分ガレージ一体構造
ポーチスロープ
車椅子対応の洗面・トイレ
撮影 川村憲太/tametoma
難病を患い介護が必要な車椅子で生活されている高齢のクライアントのために設計させていただきました、完全バリアフリーの平屋の住まいになります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でリハビリ含めて生活されていましたが、安心できる自宅で暮らしたいとの思いから車椅子で生活しやすい家が希望でした。主な要望としては家とガレージを一体的に作ること、介護とリハビリがしやすいよう導線や水回りを不便なく設計すること、寝室から緑を眺めることができるようにすることでした。機能的な部分以外にはサ高住で暮らされていた3年ほどは病室のような専有個室から空しか見えない圧迫感を感じられていたことから精神的にゆったりと気持ちよく穏やかに過ごせる終の棲家が求められました。
雨に濡れず車から乗り降りできスロープで玄関まで繋がり室内にアプローチできます。リフトアップで車から乗降しやすいよう車庫に余裕を持たせた寸法で設計しました。寝室から緑が見たいとの要望からガレージを道路からの目隠しとして壁の奥を緑の庭として計画しました。
リビング空間は元々クライアントが愛用されてきた無垢のオーク材のテーブルを中心に計画しました。現在も飛騨産業で扱われているタバーンテーブルの一番大きな197cmのものでドッシリとした安定感と存在感のある本物の家具になります。リビング空間の奥に日中過ごされる寝室を配置しました。介護者がキッチンに立っている時でも様子が分かるように経木簾を仕込んだ造作建具で仕切っています。3枚建具なのでスライドさせると物のやりとりも可能です。
洗面空間はリビングと同じ空間のコーナーに配置し、車椅子で使用しやすいよう足元がオープンの洗面台になります。浴室は介助者が入浴サポートしやすいよう計画しました。車椅子の方でも症状によって体の動かせる範囲が違うのでトイレは使う人に合わせてしっかり考えなければいけない部分になります。今回は自身で体制保持が難しいため横と前に身体が倒れないようにサポートし、立つ時には手すりを掴んでぐっと立ち上がれるように位置を調整して配置しています。
できるだけ早く新居で生活したいという希望も強く設計自体は3ヶ月で完了し、見積もり1ヶ月、申請1ヶ月と5ヶ月後には工事がスタートでき工事期間4ヶ月の合計9ヶ月で竣工引渡しができました。車椅子生活のためのバリアフリー住宅の設計経験があったからこそ無駄な時間を掛けず遠方でも問題なく設計を進め、工事監理できたことで今後困られている全国の方へ自身の経験を活かしたいと強く思うきっかけを与えていただけた出会いでした。