タクタク一級建築士事務所 滋賀県・京都府の建築設計事務所/建築家 滋賀・京都で建築家と建てる家

正面外観 Before

背面外観 Before

背面外観 Before

現場写真



西川家住宅(第5ひこね街の駅 Minna)
滋賀県彦根市/2019年度事業(保存修理事業)

耐震診断、耐震補強(限界耐力計算)

1階床面積 60.00平米
2階床面積 42.87平米
延床面積 102.87平米
工事期間 施工4ヶ月

撮影 川村憲太/tametoma

第5ひこね街の駅 Minna

彦根市花しょうぶ通り商店街にある古民家の保存修理事業

平成28725日、彦根市河原町芹町地区伝統的建造物群保存地区が国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されました。
河原町・芹町地区の町並が江戸時代前期に河川を付け替えて形成された城下町の特徴ある地割りをよく伝えるとともに、街路に沿って江戸時代から昭和戦前期にかけて建てられた町家等を良く残し、商町家としての歴史的風致を良く示すことが評価されたものです。
全国で112件目(滋賀県内では4件目)、彦根市としては初の選定です。
滋賀県内の重伝建地区は大津市坂本(里坊群・門前町)、東近江市五個荘金堂(農村集落)、近江八幡市八幡(商町家)、彦根市河原町芹町地区(商町家)の4件になります。

重伝建地区とは、伝統的建造物群およびこれを一体となしてその価値を形成している環境を保存するため、市長村が都市計画法に基づき指定して保存地区のうち、我が国にとってその価値が特に高いものを文部科学大臣が選定する制度です。

重伝建地区に選定されると、地区内の建築物その他の工作物について、新築、増築、改築(修繕、模様替え、その他外観を変更するものを含む)を行う際に一定の制限がかかる一方で、その風致・町並に適した工事等については、国の補助を受けることができます。

平成28年4月に保存計画が告示され平成30年度に2件の保存事業が実施され、西川家住宅は令和元年度の3件目の修理事業として設計させていただきました。

修理事業の助成措置としての補助金は工事費用の8/10(上限800万円)になります。
具体的には1000万円の工事の場合で800万円の補助を受けることができます。
工事費用だけではなく設計費および監理費も補助金の2/10以内(上限80万円)が補助されます。

西川家住宅の場合は耐震性能が充分でなかったことから限界耐力計算をした後、スケルトンにして耐震補強を実施しました。新たな耐力壁を新設し、瓦屋根の葺き替え、アルミサッシから木製建具への変更、漆喰壁や板壁の仕上げなど外観を保存計画の基準に沿って設計しました。
新築の設計とは異なり、歴史や文化を継承するための保存修理設計の奥深さを学びました。

建物が再生されたことで、2020年3月より「花しょうぶ通り商店街 第5ひこね街の駅 Minnaみんな」は食で繋がる循環型未来食堂「みんなの食堂」「子ども第三の居場所」、絵本の貸し出し「地域子ども文庫みんな」として地域の居場所として活用されています。

振り返ると自分が小学生の頃から普通に通っていた地元の通りで同級生の家もあるこの地域で設計に関わらせていただき縁深いものを感じ、今後も継続的に重伝建地区のお手伝いができればと願います。