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浜松の家
静岡県浜松市/2020年
家族構成 夫婦30代*設計依頼時
構造規模 木造、地上2階
計画期間 設計10ヶ月、施工7ヶ月
延床面積 123.14平米(1F/77.83平米、2F/45.31平米)
敷地面積 200.0平米
構造設計 安江一平/ワークショップ
写真 川村憲太/tametoma
地方都市に建つ夫婦2人のための木造2階建ての住宅。
共働きである施主の要望は、明るく開放的であることと、個室は必要であるが、住宅全体がゆるやかにつながり、程よい距離感を保てることだった。つまり住宅内での家族間の繊細なつながり具合が求められているということであった。しかし、それは標準的な住宅の「部屋同士を壁で仕切る」という考え方では実現できないのではないかと考えた。現代社会はモノや情報が容易に手に入り、人々の価値観もまた多様になっている。人々が生活する住宅にも多様な価値観に呼応する多様な形があってもよいのではないか。そこから今までにはない新しい住宅の在り方を模索した。
具体的には、限られた面積の中で住宅全体が多様な距離感でつながるように、田の字型の平面を基本の形とした。そして、内部の十字壁が交差する中心に「螺旋階段」を配置し、壁と階段が干渉する部分に「穴」をあけた。階段は1階のリビング、ダイニング、家事室、洗面にまたがるように配置しており、それぞれの空間を通過しながら、2階の寝室、子供室へとつながる。
また、階段の吹抜けを通して、1階と2階の各部屋の視線が対角線上に交わるようにしたことで、水平方向だけでなく垂直方向のつながりも生まれた。さらに、主な建具を「引戸」とした。「引戸」により各部屋を個室として閉じることができるようにし、なおかつ開放することで住宅全体のつながりを感じることができるようにした。
「螺旋階段」「穴」「引戸」という3つの要素の複合的な重なりが、住宅全体にさまざまな距離感を生み出し、シンプルでありながらも複雑で豊かな空間となった。